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ひょっとこ

芥川龍之介の初期作品で好きな、ひょっとこという話。これは、彼の作品の中では有名ではないかもしれない。しかし、読ませ方がうますぎて感動した。

あらすじは、酒に酔った平吉というひょっとこの面をかぶった男が船の上で脳溢血で死んだ話である。

 この平吉は、酒が好きで、医者にとめられても、のんでしまう男である。なぜか? 生理的にものまずにはいられないのだろうけど、精神的にも酔っぱらって気が大きくなり、他人に遠慮せず、踊ったり寝たりできるのが有難いそうで、また、ふだんの自分とは違うというところも自覚している。そして、ふだんの自分と酔っている自分、どっちが本当の自分なのかわからないそうである。
 なぜなら、ふだんの自分というは嘘ばかりついているからである。
 
 この話は、構成がすばらしい。平吉が嘘をいうというと、前置きしているにも関わらず、あっさり信じ込ませる、プチだまし。そして、最後のひょっとこ面での終わり方。本当によくできている。まるで、脳内に映画が流れているようだった。

 また、主題について、嘘をつくのも、酒に酔うのも、死ぬ顔も、これ全部平吉である。最後の平吉のセリフ「面を、面をとってくれ」が非常にきいている。人は、いつ何時も、様々な面をかぶっている。どれが本当の自分なんてわからないものである。
 平吉のような、全部嘘みたいな男は滑稽で、それこそ、この話の主題「ひょっとこ」なのである。見せ方、読ませ方、本当に芥川龍之介は頭のいい人である。



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大阪府柏原市在住
takakoといいます。
ぼちぼちと絵や変なものを作ったり、本読んであーだこーだと思ってます。takakoの作品集もあるので、リンクからどうぞ!

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